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たくさんある痛み止めからどれを選べばいいの?市販の痛み止めの正しい選び方

「痛みのプロ」である麻酔科医の郷正憲先生に「痛みのあれこれ」について教えていただく連載記事。
今回は痛み止めの正しい選び方について詳しく教えていただきます。

目次

市販の痛み止めの種類

市販の痛み止めの種類についてはこれまでの連載でも説明させていただきました。まずは復習となりますが、簡単にその種類について解説しましょう。

NSAIDsを主成分とした痛み止め

多くの痛み止めがこの種類となります。イブプロフェン、ロキソプロフェン(ロキソニン)、ボルタレンなどの成分がこの薬に分類されます。

NSAIDsというのは、炎症を抑える事で痛みを抑える薬になります。炎症というのは、体にできた傷を修復するためや、感染症が体内に侵入してきたときにおこる反応です。この炎症反応が起こると、普通では痛みを感じないぐらい弱い力が皮膚や筋肉、骨、歯などに与えられた時にでも痛みを感じてしまうようになってしまいます。

例えば、普段皮膚を触っただけでは痛みを感じないのに、怪我をすると触っただけでも痛くなってしまいますよね。傷を修復するために炎症が起こったせいで、弱い力で痛みを感じるようになってしまっているのです。また、たくさん運動をしすぎると翌日に筋肉痛が起こります。これは、たくさんの運動によって筋肉の繊維が傷んでしまい、炎症によって修復が進んでいくために、少し筋肉を動かしたり触ったりしただけでも痛みを感じているのです。このような痛みを体性痛と言います。

体性痛の特徴は、ズキンズキンとした痛みです。また、触る、体を動かすなど、何らかの動作を契機に痛みが急に強くなる事があります。

骨や筋肉、皮膚以外でよくみられる体性痛としては、頭痛と生理痛があります。いずれも“体を動かした時におこる”という特徴からは外れることも多いですが、ズキンズキンとした痛みという体性痛の特徴を持ち合わせています。

ですので、一般に「筋肉痛や歯痛など」に効果があるとして売られている市販薬や、頭痛薬、生理痛対策の薬などはいずれもNSAIDsが主成分となっているものがほとんどなのです。

NSAIDsは効果が非常にわかりやすく、内服してすぐに痛みがすーっと引いていきます。しかし一方で、妊婦で使用ができない、腎臓の機能を低下させる可能性があるので腎機能が低下している人や高齢者には使用しづらい、胃潰瘍を起こす可能性があるので胃の調子が悪い人には使用しづらいといった欠点があります。

ロキソニンS
効能・効果
1)頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・
筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
2)悪寒・発熱時の解熱

リングルアイビー(イブプロフェン)
効能・効果
1)頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・
肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・月経痛(生理痛)・外傷痛の鎮痛
2)悪寒・発熱時の解熱

アセトアミノフェンを主成分とした痛み止め

アセトアミノフェンは、弱い炎症を抑える効果を持っており、体性痛にも効果が無いわけではありません。しかし、NSAIDsに比較してその効果は弱いです。

しかし一方でアセトアミノフェンは様々な作用を持っています。驚くことに20種類以上もの作用があるとも言われ、今でも全ての効果が解明されていないとも言われているのです。その作用の中には、痛みの伝達を和らげる効果や、脳で痛みを感じにくくする作用なども含まれているため、痛み止めとして効果を発揮すると言われています。

そのため、アセトアミノフェンは体性痛だけではなく、内臓の不調によっておこってくる内臓痛にも効果があります。

また、アセトアミノフェンの最大の特徴はその安全性です。妊娠中でも、子どもでも使用が可能です。ですので、市販の痛み止めのなかでも、子どもが使用可能な痛み止めはほとんどがアセトアミノフェンの製剤です。

一応妊娠中でも使用は可能なのですが、市販のものの多くは、妊娠中の場合は主治医と相談のうえで使用するように記載されています。妊娠中の方は、念のため主治医とご相談ください。

タイレノール(アセトアミノフェン)
効能・効果
1)頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
2)悪寒・発熱時の解熱

鎮痛薬以外の痛み止め

最後の痛み止めは、鎮痛薬以外の痛み止めです。鎮痛薬は原因が何であれ、痛みを止める事に特化した薬です。逆に言えば、痛みの原因には関与しません。

一方で、市販薬の中には痛みの原因に対して作用することで痛みを抑える薬があります。胃腸薬はその代表です。

お腹が痛いというとき、痛みに波があって痛くなったり痛くなくなったりを繰り返している場合、腸の蠕動が強くなっていることによって痛みが起こっていることが想定されます。このようなときに効果があるのがブスコパンという成分です。ブスコパンは、腸の蠕動を弱くする薬です。それにより、蠕動によっておこってくる痛みを抑えてくれるのです。

このような、痛みの原因に対して作用する薬の場合、原因が異なっている場合にはあまり効果がみられません。しかし、ピタリとはまれば、痛み止め以上に痛みを抑えてくれることがあるのです。

鎮痛薬以外の痛み止めはそれ単体で販売されていることもありますが、鎮痛の補助作用のために鎮痛薬に混ぜて販売される場合があります。例えば生理痛に対する痛み止めに、マグネシウムが含まれている製品があります。マグネシウムは子宮の収縮を和らげる効果があるため、子宮の収縮による生理痛を緩和する作用が期待できます。

ブスコパン
効能・効果
胃痛、腹痛、さしこみ(疝痛、癪)、胃酸過多、胸やけ

病院で処方される痛み止めと市販薬の違い

痛みがある時に、病院で薬を処方してもらうのか、市販薬で対応するのか悩むこともあると思います。では、病院で処方される薬と市販の薬では何が違うのでしょうか。

用法用量が異なる

病院を受診して薬を処方される場合、体の状態を医師が確認し、内服が安全と判断して処方を行います。そのため、その人に使用してはならないと思われる薬は避けて処方しますし、処方される分量もその人に使用可能な分量を処方します。

しかし、市販の薬剤はそのようなチェックはなく、自己判断で購入し、使用する事になります。ですのでメーカーとしても安全性を高めるために、どうしても弱めの成分を、なるべく少ない分量で配合せざるを得ません。

例えば、イブプロフェンはNSAIDsのなかでは安全性は高いですが、効果が弱い薬です。そのため、医師が処方することはほとんどありませんが、市販の鎮痛薬では非常に多く使われています。

また、アセトアミノフェンについては体重によって使用可能な分量が異なります。例えば体重50kg以上であれば、一回1000mgまで使用可能ですが、市販のアセトアミノフェンを主成分とする薬剤は1回300mgしか配合されていません。

このように、基本的に用法用量を守ると市販の薬剤の方が弱い効果だと考えて良いと思います。

例外なのは、第1類医薬品です。第1類医薬品というのは、市販されている医薬品の中でも副作用が強く、薬剤師のみが販売できる医薬品のことです。鎮痛薬としてはロキソニンが第1類医薬品となっています。そして、このロキソニンは病院で処方されるロキソニンと同じ成分で、同じ分量配合されています。

個人的には、市販の痛み止めで十分痛みが取れない場合はすぐに病院を受診するべきだと考えていますが、日曜日であったり、仕事の都合であったりなどですぐに病院を受診できない場合は内服する薬をロキソニンに変更してしのぐという方法は1つの手段だと考えます。

ロキソニンS
成分・分量
本剤は、ごくうすい紅色の素錠で、1錠中に次の成分を含有しています。
成分・・・分量・・・はたらき
ロキソプロフェンナトリウム水和物(無水物として60mg)・・・68.1mg
・・・炎症や痛みのもと[プロスタグランジン]をおさえます。

他の成分が含まれている

市販薬と処方薬の大きな違いはここにあります。

痛み止めに限らず風邪薬など他の薬でも言える事なのですが、処方される薬というのは基本的には1つの成分だけが含まれています。複数の成分が必要と考えられる場合には、複数の薬を処方することで効果を得ます。

一部の薬剤は、複数成分を併用することで効果が最大限発揮されるという事から複数の成分が配合された薬として処方薬の製品となっているものもありますが、それでも2種類程度の成分が配合されている程度です。

一方で、市販の薬剤は非常に多くの成分が含まれています。これは、1つの成分だけでは処方薬と同じ程度の効果が発揮できないため複数の成分を配合することで効果を強くするためという理由と、副作用がなるべく起こらないように副作用を抑える成分を配合するためという理由があります。

もちろん、含まれる成分が多くなればなるほどコストがかかってきますから、市販される値段が高くなります。そのため、各メーカーは同じブランドの鎮痛薬でも複数の製品を製造しています。鎮痛成分だけの製品、鎮痛成分に副作用を抑える成分を加えた製品、さらに他の鎮痛補助成分を加えた製品など、様々なランクの製品を販売しています。

しかし、一般の人からしてみたら、「種類が多すぎてどれを選んだらいいのか分からない」という声が多く聞かれてきます。では、どのように市販薬を選んだらいいのでしょうか

実際にどのように市販薬を選ぶのか

市販薬を選ぼうと薬局に行ったら、痛み止めのコーナーにたくさんの痛み止めが並んでいる事に気づかれると思います。「頭痛薬」というだけでも10種類以上並んでいることがほとんどです。さらに、値段もバラバラで、自分に合ったものがどれなのかなかなか検討がつかないと思います。

私でも、鎮痛薬はどれがお勧めですかと聞かれても、なかなか「これ!」と決められないほどたくさんの種類があり、すぐには選べません。

ですので、市販薬を実際にどのように選んでいくのか、私なりに考える選ぶための手順を紹介しましょう。

手順①:自分自身の状態を考えましょう

痛み止めに限った話しではないのですが、薬を選ぶときにはまず現在の症状や持病など、自分自身の事をまず考える必要があります

痛み止めを選ぶ場合はまず持病を確認するのがよいです。特に腎臓の機能が悪いと言われている場合や妊娠中の場合、胃潰瘍が現在ある事が分かっている場合については、NSAIDsは使用できませんので、アセトアミノフェンを主成分とした製剤を選択する事になります。

つづいて、現在の症状を考えてみましょう。特に、胃が痛い場合や、腸の動きが激しくて痛みが強い場合は、痛み止めを選ぶのではなく、胃の状態を改善する薬や腸の動きを抑える薬のほうが痛み止めより効果的な場合が多いです。

また、頭痛や生理痛に関しては、種々の成分を配合した専用の薬剤が多く販売されていますから、その中から選ぶのが効果的です。

それらの、症状ドンピシャの薬がなさそうで、痛みを止める一般的な薬が欲しいとなった場合は、痛みの種類を考えましょう。つまり、自分の痛みが体性痛なのか内臓痛なのかを考えます。体性痛ならばNSAIDsを中心とした製剤、内臓痛ならばアセトアミノフェンを中心とした製剤を選ぶことになります。

他には、自分自身の症状がずっと続いている症状なのか、1ヶ月のなかでも何回かおこるような痛みなのか、それとも今回初めておこった症状なのかを考えましょう。頻回に鎮痛薬を使用するのであれば、副作用の事を考慮しなければなりません。

このような自分自身の状態を考えた上で、薬を選んでいきましょう。

手順②:メーカーを選びましょう

鎮痛薬は様々なメーカーが製造しています。最近では、Amazonのプライベートブランドも登場し、ますます選択肢が増えてきました。

選択肢が増えたと言う事は、選ぶのも大変になってきたと言う事です。しかし、大まかに言って、各メーカーが自社ブランドでいくつもの種類の鎮痛薬を製造していますが、同じぐらいの価格のものは同じような成分が入っており、あまり差はありません。例外としては各ブランドの最も値段の高いものは各社力を入れており、差が出てきます。ですので、色々なメーカーのものを見比べても迷ってしまうだけですので、好みのメーカーに決めてしまい、そのメーカーの中で比較するのがお勧めです。

ただし、例外として第1類医薬品となっているロキソニンだけは、他の鎮痛薬とは一線を画します。副作用が強めですので、胃の調子が少しでも悪い印象があるような場合や、常に内服し続ける場合は避けるべきですが、痛みが強くてどうしても困る場合はロキソニンを選ぶと最も強い鎮痛効果を得られます

手順③:症状に合わせて製品を選びましょう

痛み止め選びの最終段階です。

自分自身の症状の強さ、持病の有無、痛み止めを使う頻度、予算などを考慮して製品を選びましょう。

症状が強いのであれば、ロキソニンを選ぶか、それ以外の薬剤でも主成分以外にアリルイソプロピルアセチル尿素や無水カフェインなどの鎮痛補助成分が入っているものを選びましょう。特に痛みが強い場合は、各社の最高レベルの薬剤を選んでおけばまず間違いはありません。

腎臓が悪いわけでは無いからNSAIDsを選ぼうと思うけれども胃が痛くなりやすいと言う場合には、胃粘膜保護成分が含まれているものを選んでおくのが無難です。また、頻回に痛み止めを使う場合も同じように胃粘膜保護成分が含まれているものを選んでおきましょう。

市販の痛み止めを服用する際の注意点

痛いから痛み止めを内服しようとする場合に、気をつけておいた方が良い点があります。痛み止めを購入する前に確認しておきましょう。

用法用量を必ず守る

痛み止めに限らず、全ての薬剤には用法用量が定められています。この用法用量は、その通りに使用する事で安全に、そして必要な効果が期待できる使用法としてメーカーが保証しているものです。

ですので、用法用量を守らない使用方法では、思わぬ健康被害が起こる場合がありますし、場合によってはメーカーがその後の治療について保証してくれない場合があります。

特に痛み止めの場合は、痛いからと言ってたくさん飲んでも効果が頭打ちになり痛み止めの効果がそれ以上得られない一方、副作用については正しい内服法に比べて出やすくなってしまう場合があります。

特にアセトアミノフェンは過量内服で回復しない非常に強い肝硬変が起こってしまう場合もありますから、用法用量を守る必要性が非常に高いのです。ご注意ください。

同系統の薬剤は併用しない

先ほどの用法用量をまもると言う事とも関連しますが、痛いからと言って別製品をすぐに内服する事もしてはなりません

別製品といえども主成分が同じか、あるいは違う成分であっても結局はNSAIDsである場合が多いです。そのため、内服量が過量となってしまい、副作用が強く出てしまう場合があります。

一方で、NSAIDsとアセトアミノフェンは併用が可能です。もし痛み止めの効果をもう少し得たいという場合は、NSAIDsとアセトアミノフェンの併用をお試し下さい。

痛み止めが効かない痛みは病院を受診しよう

痛み止めは、原因の治療にはなりません。あくまで痛みというのは体の中で何らかの異常が起こっている緊急警報で、痛み止めはその警報をとめるだけの処置になります。

ですので、痛み止めが効かないほどの痛みがある場合や、内服しても効果が切れるとまた痛くなる事を繰り返す場合、体の中で非常に重篤な異常が起こっている可能性が高くなります。

人生で感じた事が無い痛みや、他の症状を伴うような痛みの場合は躊躇せず病院を受診しましょう

また、内服をした後に吐き気や皮疹など、何らかの異常が起こった場合にも病院をすぐに受診してください。

市販の痛み止めは上手に使えば非常に有用なものが多いです。しかし、薬は何らかのリスクを負うものです。正しく使用し、快適な生活を手に入れましょう。

まとめ

今回は痛み止めの正しい選び方について麻酔科医の郷 正憲先生にお話しを伺いました。

痛み止めを選ぶ際は、以下の点に注目してみましょう。

✓持病や症状など、自分自身の状態を考える
✓メーカーを選ぶ
✓症状にあわせて商品を選ぶ

また市販の痛み止めを使用する際は用法容量を守り、痛み止めが効かない痛みがある場合は病院を受診することが重要です。

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この記事を書いた人

監修医師:郷 正憲 (徳島赤十字病院)
保有免許・資格は日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT
主な著書は『看護師と研修医のための全身管理の本』

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